2018年2月27日火曜日

2月後半の図書館利用状況。

江東区の東陽図書館で2冊借りて来ました。



 

まさか「囲碁と悪女」を図書館で借りて読むことが出来るとは思ってもみませんでしたねえ。
基本的に稲葉さんの交友自慢なので多くを期待しちゃいけないですね。
もしやと思って検索してみたら葛飾区と江東区の図書館に依田さんの「どん底名人」も置いてあるらしいので、今度借りねばならんなと思っております。
攻め合いの極意」は江戸川区の図書館には置いてないのでこの機会に借りておくかなというところで。
江東区の図書館では何故か方々で置かれているんですよね。

江戸川区の図書館では予約していた新着図書を中心にこんな感じで。

    

メイエンさんの「棋士とAI」は囲碁を知らない人向けの読み物ということで、一部説明が冗長だったり、あまり上手いこと言えてないたとえ話とかありますが、アルファ碁登場以降の囲碁AIに関するまとめは流石で読み応えがありました。
図書館で借りて読む分には良い本ですね。

安斎七段のAI本で取り扱っている内容の前半部分はAI囲碁とまったく関係が無く最近評価が変わった打ち方で、後半でようやくAIが多用して評価が変わった打ち筋の紹介になりまして、半分はタイトル詐欺ですね。
まあ今に始まった話ではないみたいなんですが、最近のマイナビは何でも囲碁AIと書名にブッ込んでおいて中身はAIとの関連性がびっくりするほど薄いパターンが多いようで感心しませんねえ。
囲碁AIってタイトルに入れときゃ売れると思ってるんでしょうねえ。
さんざんdisりましたが、タイトル詐欺を差し引けば良い本でして囲碁AIと関係なくても役に立ちそうな進行がたくさん紹介されています。

三村九段の「楽に勝てる石の形」は「石の形集中講義」の2.0的な本ですが「初段突破」とある通り初級者向けの基本的・原則的な説明を省いていまして、その分初段手前の級位者向けの説明が多くなっていますので一桁級後半より棋力が下なら「石の形集中講義」の方が良いのではないかなと思います。

「三連星・中国流・小林流~」は周囲の状況が三連星とか中国流なだけで単なる定石と定石はずれを咎める問題なだけのものが目につきましてどうも良くない感じがします。
実戦頻出形に絞って欲しかったですねえ。


棋譜再生


白番でどう打ちますか?ってこれどう考えても黒がオサエる方向がおかしいので実戦的な図でないですよね。
周囲の状況と問題になっている部分がチグハグです。
普通に序盤頻出の手筋として部分的に出題される分には悪くない問題ですが「三連星・中国流・小林流を極める~」と書名に出して置いて雑に部分的な手筋の問題を三連星や中国流の序盤にはめ込んでみただけってのがどうも頂けません。
上述の安斎七段の本も含めて本当に最近のマイナビの本は書名で勇み足をやらかしていますね。

守りのタイミングとその後」は日本囲碁連盟お得意の三択で出題して正解・不正解ともに丁寧に説明してくれるスタイル、こういうのが合うなら良いんじゃないですかね。
一局の流れを追いながら出題以外の場面でも手直しが多数あって良いと思います。
地味に勉強になりそうですね。

ざっと借りた本でこんな感じで、買った本はまた別エントリにて。


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2018年2月25日日曜日

3月の行動予定。

3月4日プロ棋士ペア碁選手権決勝がありまして現地大盤解説会は入場無料ですが事前応募制で応募者多数の場合は抽選となるのでどうかと心配しておったのですが無事に招待状のハガキが届きました。
いやあ前回の準決勝まで行われる第一ラウンドでは応募するも抽選に外れたのでどうせアカンやろなと悲観しておったのですが、くじ運の悪さに定評のある私ですが今回は何とかなりましたね。

センコーワールド碁女流最強戦3月14~16日に市ヶ谷の日本棋院で行われることになっていまして、現地大盤解説会もあるはずなので無料なら行ってこようと思います。
ただ今のところ詳細が発表されておりませんでどうもはっきりしません。
事前申し込みの上で抽選ということでないようなら、是非にナマで台湾代表の黒嘉嘉さんを拝んでみたいんですけどねえ。

続いて3月17日~19日ワールド碁チャンピオンシップがやはり市谷の日本棋院で行われますが、現地大盤解説会が入場料2000円ということなのでこれはパスしてネットで観戦するかなあと思っております。

3月22日には十段戦第二局が埼玉県戸田市で行われまして、JRで1時間くらい電車に揺られれば行けそうな距離なので、定員120名の事前申し込み制なので、当選して入場券が届くようであれば行こうと思っています。

3月31日にはグランドチャンピオン戦(旧棋戦優勝者選手権戦)があるみたいで、これも無料で現地大盤解説会をやるようなら行きたいと思っています。
過去の例から行くと定員150名の事前申し込み制なんですが今年もそうなるのでしょうかね。
つーか入場料無料だけど事前申し込みの上で抽選ってパターンが最近多いですねえ・・・。
前述の通りくじ運に見放されている人間なものでこういうのはツラいんですよね。

2月は前半に棋聖戦とLG杯が続きまして何かと立て込みましたが、3月は月半ばにセンコー杯、WGCと続きましてやはりいろいろと立て込みそうです。



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2018年2月17日土曜日

棋聖戦第四局大盤解説会@東京本院

井山さんが四戦全勝で棋聖位防衛を決めましたねえ。
当初からその可能性は充分あると思っていましたが、第5戦・第6戦ともつれてくれた方が個人的には有り難いのでその手の波乱・番狂わせの類は大歓迎だったわけですが、一力くんには一勝が遠かったということですねえ。

それでまあ日本棋院東京本院での大盤解説会に行ってきました。
来場者はいつものように20名弱、開始後も数名の来場があったかなーというこれまたいつものような展開でした。
解説は前田良二七段で東京本院の囲碁教室で講師を務められていてアマ指導の実績がとても高い先生のようです。

難解な局面に盤面を見つめる前田先生の図






















現局面に追いつくまでは予習されていたところもあってか、アマの俺らにも分かった気になれるような配慮にあふれた解説をしてもらえましてとても良かったのですが、解説が進行に追いつくと立て板に水とは行きませんで解説する言葉に詰まって無言になる場面が何度もありました。
これは無理からぬ話で、棋聖戦第一局の現地大盤解説会で林漢傑七段が次の一手クイズで「ここだけは絶対にない」と全否定したところに井山さんが打って林七段が面目を失うなどあり、日本でずば抜けてトップの井山さんと誰しも認める二番手の一力くんという日本最高峰の棋士による対局は現地検討室で並み居るプロ棋士が「難解だ」と頭を抱えるところであり、大盤解説で場つなぎに適当なことを言うと後で赤っ恥待ったなしという難易度の高いミッションですよね。

それでお約束の次の一手クイズでは「分からないから」という理由で候補手を挙げることを前田七段が全力で拒否されまして、各々が座標を指定する形式になりましたw
丁度上記画像の局面で次の一手クイズになりまして右上隅黒四子への利かしで18-七ハネで用紙を出しましたら正解となりまして色紙がもらえることになりました。
ハネの後にカケツいでコウにはじくとはゆめゆめ思いませんでしたけどねw

正解者三人に対して用意された色紙が三枚で丁度良い按配の展開、武宮さんと一力くんと前田七段の色紙が一枚ずつということでしたが厳正なる抽選の結果私は前田七段の色紙がもらえることになりました。

ある意味レアアイテムなのか



























対局内容の方ですが検討室の評判では一日目終了の時点では白番の一力くんが若干良いのではないかとの評判だったようで、ニコ生でのDeepZenGoや野狐での絶芸は黒番の井山さんがかなり良いという数値を出していたのとは対照的な話でした。
まあ囲碁AIが見えている人外の読み筋と対局者を含めて人間が見ている筋ではステージが違うので齟齬が生じるのもやむを得ないのですかねえ。
で、人間界では評判が良かった白32のブツカリですが絶芸先生には随分と不評だったようでこの先打てば打つほど白の勝率が低くなる展開でしたね。
前田先生曰く井山さんの封じ手黒73がすごく良い手でここからの競り合いで黒がポイントを稼いだ一方で白は生きた石の眼の分くらいしか地がない感じで大きく差がついてしまったとのことでした。

序盤の左上隅のワカレがずっとコウ残りのままでしたが、コウダテとの引き算で考えると大儲けというわけには行かないみたいで、既に左上のコウでひっくり返せる差ではなく最後まで使いどころが無かったということのようでした。

一力くんが踏ん張って第五局があれば来週にもう一局あったのですが、2月はこれにて囲碁イベントはひと段落ですかね。
3月の一連の囲碁イベントに関してはまたいろいろ考えないといけないのですが、それはまた別エントリにてということで。


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2018年2月14日水曜日

図書館利用状況。

今借りてるのがこんな感じですね。

   

碁楽選書「勝つには理由がある」はとにかく目先の勝率を上げたい人のために、実戦頻出形での打ち方を解説するとともに、囲碁百訣とでも言うべきアドバイスを列挙しています。
今からネット碁で対局すれば一つや二つはこの本で扱われている実戦頻出形が出て来そうなくらいに過不足なくセレクトされているのでこれはこれでアリかなあと思います。
アドバイスの方はまあよくこれだけ考えたもんだなと感心しますかねw

同じく碁楽選書「ヨセのテクニック」上下巻は定期的に借りたくなる俺的ヨセのバイブルですね。

「初段突破 楽に勝てる石の形」は三村九段がマイコミから出した「石の形集中講義」のVer.2.0という感じで初段突破という標題に沿って話を整理した感じでしょうか。
二桁級・一桁級後半の人は「石の形集中講義」で原理原則から学ぶのが良いと思いますが、初段が射程距離内に入っている人はこっちの方が良いんじゃないですかね。

それで新着図書の予約をこんな感じで入れてあります。

  

昨日予約を入れたので先に予約が入っているもの以外は今日回送されて明日には取りに来いとメールで通知が来るのではないかと思います。
雨後のタケノコのように毎月出版されている囲碁AI本ですが近隣の市区の図書館も含めて借りて読みまくる!ということで行きたいと思っておりますw


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2018年2月9日金曜日

最近の棋書購入。

松戸駅前のブックオフまで足を伸ばしまして二冊購入。
ともに108円。

 

さらに足を伸ばして松戸馬橋のブックオフで一冊購入。
やはり108円。



二枚あった一割引きの券をこれで使い切ります。

まず「定石原典」から目を通しているのですが、1981年初版で既に37年の歳月を経ていまして、後の研究で否定されている進行が多く含まれていますが、それを差し引いても面白いですね。
囲碁SNSで確かプロの先生だったかなあ、星の二間高バサミ定石後の狙いにこういう図を出している本があるらしいけどこれはダメだ!とプンスカお怒りの日記がありました。


棋譜再生


梶原先生が講師を務める日本囲碁連盟の通信教育で初段位挑戦囲碁講座の中級コースの定石の学習の冊子で確かにこの形が紹介されていまして、私にも見覚えのある図です。
私ではありませんが(この図で言うところの)右下隅側に援軍がある場合白の進出を止めて有効ではないでしょうかと質問されていましたが、薄みのある石を堅くさせた罪の方が大きいとバッサリ切り落としていました。
当時初段手前の級位者だった私には今一つピンと来ない話だったのですが、今になって改めて考えてみるに右側にシマリの背中があったとしてもこう打ちたいとはあまり思えないところは確かにありますかねえ。
この「定石原典」にも梶原先生がこの図を紹介されていたのでそんなことが思い出されました。

マイコミの二冊は「定石原典」に一通り目を通してからになりますかね。


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LG杯決勝第三局大盤解説会。

井山さん残念無念!
謝爾豪五段は早打ちな上に読みが正確無比で強かった!

開場11時半というので少し早い目に出て11時過ぎに日本棋院に到着したのですが会場二階大ホール前から階段の踊り場あたりまで開場待ちの行列が出来ていましてビックリ仰天です。
並んでないけど1Fエントランスロビーで開場待ちしている人たちも合わせると一体何人になるのやら。
スタッフで行列を管理できなくなるのを危惧したのか、程なく開場されましてあれよあれよと会場が半分埋まります。
増席して270席くらいと思われましたがすぐに半分埋まりまして、その後も来場者が途絶えることはありませんで、立ち見が出る状態になりました。
後で知ったのですが一階のエントランスホールに常設されているモニターで観戦してもらうべく急遽臨時席を設営したようです。

これは解説会終了後の一階臨時席の様子




















解説は1日目も担当した張栩九段、聞き手は万波奈穂三段、PC操作担当が昨日に引き続き寺山怜五段という顔ぶれでした。




















治勲さんと組まされても当たり負けしない万妹に「絶芸の数字が気になりますね」と言われて張栩さんが「いいじゃないですか、せっかく私がいるんだから」とかせつない気持ちになる展開などあり第一局の吉原由香里さんとのペアとはちょっと違った感じの展開になりましたw

さて対局内容ですが、張栩九段としては上記画像にもある井山さんの黒95ハネダシが良くない手で一気にここで形勢を損なうことになったとのことです。

それまではほぼ互角の形勢でしたが・・・


























張栩九段的にはここはQ-17ヒキの一手しか考えられないところ、下手にハネ込んだばかりにサバキ筋に入ってしまい黒の勢力圏内でも簡単には死なない形になってしまったとのことです。


往復ビンタ!

このサバキ筋でよく見る白3・5のアテアテですが張栩さんの家で子供さんに碁を教える際には「往復ビンタ」という呼称を使っているのだそうで、聞き手の万妹がこの呼び方をいたく気に入ったみたいで、別の場面で「さっき言ってた往復ビンタですね~」と言ったらば「別に流行らせなくてもいいですよ」とちょっと嫌そうな顔をしていましたw















結局右辺に打ち込まれた白石を捕獲すること能わず、はっきり黒番井山さんの非勢となりました。
しかしここからあの手この手で井山さんが白の構えの不備を追及して来まして、謝爾豪五段がこれをかわし切れるかどうかという焦点になってきます。

まず黒133オキで中央に事件を起こそうとします。

あわよくば中央の白石を・・・






















これをかわされると次は黒153トビで隅の死活とL17と突き出してデギリからの逃げを見合いにしようという悪魔的な企みが仕掛けられます。

右側のデギリ狙いと左下隅の死活、両方をシノぐことが出来るか


























これも回避されて井山さんは黒173で最後の戦いを挑みます。
コウにでもなればコウダテの数では負ける気がしません。
隅で事件が起きたり左辺が大きく黒地になれば白の優位が崩れかねません。
謝爾豪五段、これを無条件で仕留められるか。

右側黒三子の取られっぷりが悪いのが関連して利き筋が発生すると・・・


























これまで早打ちで時間をたっぷり残していた謝五段ですがこの手は想定していないかったのかピタリと手が止まりまして長考します。
結局これを読み切ったと思われまして、井山さんも読み切られたと観念したようで矢尽き刃折れたということで無念の投了と相成りました。

会場で見ているこっちまで精神をすり減らされるような内容の碁で対局が終了した時にはドッと疲れが出ました。

引き続き表彰式となりまして両者に簡単なインタビューがあったのですが、優勝した謝爾豪五段がコメントを求められて曰く「普通にうれしいけど、すごくうれしいということはないです。」と通訳を通して発言しまして「なんだそりゃ?」ということで満場がドッと湧きましたw




















決勝三番勝負を前にしたNHKのインタビューで「井山さんは確かに強いがまだ世界棋戦で優勝するのに相応しくない。普通に打つことが出来れば私が優勝するでしょう。」と不遜とも取れる発言をしたそうで、カケツさんと同じく生意気な悪ガキタイプなのかなと思っていたのですが、この発言を見て天然キャラの不思議ちゃんではないかと思えました。
あと通訳の中国のオッサンが操る日本語がなんだかもう猛烈に心もとないというか怪しいので中国の棋士の発言内容が正しく日本の俺らに伝わってない可能性もあるかもしれんなとも思われますがw
まあ何だ大陸の棋士は多士済々ですねえ。

そして井山さんは今回大変残念でしたが今後もまだチャンスはあるかと思いますし、虎丸くんなどポスト井山の若手世代の猛追も含めて今後に期待したいですかね。

井山さんお疲れ様!


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2018年2月7日水曜日

LG杯決勝第二局大盤解説会。

勝った、勝ったよ!
終局整地して黒地24目・白地18目でコミ六目半で白番の井山さんが半目勝ちと正式に結果が出た際には会場割れんばかりの拍手でした。

正直、2タテで負けてしまうのも十分予想されまして、それでも俺が応援しに行かないでどうするよという感じで、暗黒時代の虎党の気持ちが少し分かったような気がしましたw
で、行ってみたら素人目にもこれ井山さん劣勢だよね?という感じで見ているこっちもツラい気分になるところでしたが、いやあ井山さんよく辛抱した!よく頑張った!

総譜 https://www.goer.live/meteor/game/htq6t?utm_source=facebook&utm_medium=post&utm_campaign=LG2
見れますかね?

順を追って話をしていきますと、会場の入りは第一局と同様で開場間もなく200席設営された席が半分埋まって、その後じわじわ増えて行って解説会開始後間もなくほぼ満席となり立ち見が出る盛況でした。

解説は高尾山、聞き手は第一局に引き続き吉原由香里六段、PC操作担当が寺山怜五段という顔ぶれでした。
立会人のメイエンさんが会場に現れてちょっとだけ解説





















高尾山がとにかく「分かりません」を連発しましてちょっとこの人正直過ぎやしねえかと思っていると由香里先生がご立腹して「分からないだけなら私でも言えます!」と厳しいツッコミを入れまして、高尾山がおびただしく狼狽してPC操作担当の寺山くんに物凄く頻繁に助け舟を求めるなどあり、日本と中国の最高峰棋士の対局を解説するのは大変やなと少し同情したりしました。

対局内容の方ですが、白20ツケあたりから黒優勢の意見が多くなってきたようでして、要は対隅の三々へのカタツキが丁度良いシチョウアタリになっているのであまり黒に良い図が出来ないというのが定説らしく、白番の井山さん窮したかのように見られていました。


























シチョウがらみの競り合いから白56グニャマガリが凄い手だとの評判でしたが、その後の進行で野狐での絶芸が表示する黒の勝率が90%を超える場面もあったようです。
























台湾の囲棋人という対局サイトの中継で使用された囲碁AIの勝率表示でも黒が一方的に優勢で終盤まで井山さん我慢の展開が続いたのは間違いないようです。

台湾なのでCGIGoIntelligenceなのでしょうかね











高尾山の見立てでは転機となったのは黒171オキだったらしく、結果としては隅の白石と下辺の黒石の攻め合いは黒一手負けになり白番の井山さんは潰れを回避することになりました。
黒からもっと上手い手があったはずとのことでした。





















続いて左辺の白の一団を生きて、右辺の白石の一団がコウは不可避と思われていたところを無条件生きとなり非常に細かい形勢になります。
っていうか井山さんヤバかったところ全部シノいでるじゃん、すげーな!
半目勝負が予想される予断を許さない局面が続きましたが大盤解説の高尾山曰く最後の決め手は白282ツケコシで、ここで半目負けかと思われたところが一目ひっくり返ったとのことでした。



























しかし、第一局で勝勢との見立てに浮かれていたら勝負手から事件を起こされて大逆転負けして失意のズンドコに落とされた悪夢があるため、聞き手の吉原由香里六段を始めとして会場の俺らも家に帰るまでが遠足というか下駄を履くまで分からんというか、実際勝ちが確定するまでは安心出来ねえぞ!という、謝爾豪五段相手ではまだまだ安心できない心境でいました。

野狐の絶芸的には黒223サガリで右辺の白と右下隅の黒を生き生きにした時点で黒の勝率が60%くらいから13%までガクンと落ちたみたいですね。
絶芸先生としては右辺の白を五目中手にして右下隅も黒もオキを食らって部分的には眼が二つない形になるけど構わず攻め合いかコウ争いに進行して欲しかったようです。

実際この右辺白と右下隅黒が生き生きで治まった時点で高尾山と寺山くんで計算をしたところ井山さんが一目足りないのだけれどもどこかでヨセの手筋で得をすればひっくり返せるのでまだまだ分からんよねという話でした。

早打ちの謝爾豪五段とは対照的に時間を使って考えてかなり早い時期に1手40秒の秒読みに入っていたと思われる井山さんですが、非勢のところを八方全部シノギきって形勢不明に持ち込んで手筋一閃で半目勝ちにするという国内棋戦で高尾山や山下さん河野臨さんあたりにやっていたような覚えのある展開でして、当の高尾山も「私も何度もやられてるんですが、これをやられるとすごく悔しいんですよねえ」と捨て身で笑いを取っていました。

実際、謝爾豪五段はかなりショックだったようで終局後検討一切なしで石を片付けて席を離れてしまいました。
中国からも報道関係者がたくさん詰めていて局後のコメントをしなければいけないので、すぐに席に戻されていましたが、相当こたえたみたいですね。

さあ泣いても笑っても明日が最終の第三局ということで、解説が張栩九段で聞き手が万妹の大盤解説会に明日も行ってこようと思います。
今日以上に激混みになるかもしれないのでちょっと早い目に出た方が良いかもしれませんね。

頑張れ、井山さん!


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2018年2月6日火曜日

LG杯決勝第一局大盤解説会。

行ってきました。
11時半会場で12時から解説会が開始というところを11時45分頃に会場入りして席に着いたのですが、ざっくり200席くらい設営されているところが既に3分の2は埋まっている感じでした。
解説会が始まって30分もするとほぼ満席になり立ち見が出るほどの入りとなりました。

山城宏副理事長からの挨拶。





















国民栄誉賞効果でしょうか、NHKやら何やら報道関係者が会場内でも見受けられまして私もインタビューされてしまいました。
誘導尋問くせえ聞き方をして来ましたので、こちらでも期待されている通りの回答をしてあげようと精一杯の配慮をしてあげましたw
他にもたくさんの人にインタビューしていたので私の受け答えが使われるかどうか分かりませんけどね。

解説は張栩九段で聞き手が吉原由香里六段、PC操作が孫喆(そんまこと)六段という顔ぶれでした。
張栩さんが孫くんのことを非常に高く評価していまして、実際虎丸くんや一力くんのように実力で押し通すほどでないにせよ、未だにリーグ入りしてないのが不思議なくらいの俊英若手棋士で、要所要所で張栩さんから意見を聞かれて淀みなく変化図を示してくれるあたりは流石やなという感じでした。

意外とトーク多めな大盤解説をする張栩さん





















次の一手クイズの賞品用に直筆サインの入った「囲碁パズル四路盤」を用意した張栩さんでありましたが、白番の謝爾豪五段が早打ちで選択肢を指定して用紙を配布してとかやってる時間の余裕がないということで挙手して次の予想着手点を申告するというこれまで見たことのない形式で進行することになりました。
結局それでは用意した分が全部はけなかったので解説会終了後にじゃんけん大会をやりますとか言ってましたw
馬鹿らしくてさっさと帰りましたけどねw


立会人の治勲さんが会場に現れましてゲスト解説をすることになりまして、例の如く大暴走します。
目ざとく最前列に座っていた梶原武雄九段のひ孫さんを見つけて少しイジってから大盤を解説しながら「昔はこういう手を打つと梶原先生に扇子で手や足をピシッと叩かれたもんです」と木谷門の内弟子時代の思い出話の持ちネタを披露してすっかり治勲さん劇場です。

対局前の会見で謝爾豪五段が「日本はまだ世界棋戦で優勝するレベルにない。普通に打てば私が勝って優勝する。」とビッグマウスをやらかしたそうで、まだ19歳の若手棋士なだけに張栩九段曰く「周りに何か吹き込まれたのではないか」と推測していました。 
治勲さんが登場してやはりこの話になり最初は「何せまだ19歳の若造の言うことですので」云々と火消しに走ったのですが、いざゲスト解説を始めると白番の謝爾豪五段の悪手をさんざん指摘して「世界戦で優勝できるレベルじゃない!」と激しい身振り手振りを交えながらダメ出しをして満場をドッと湧かせていました。

それでまあ対局内容の方は皆さんご存知の通り井山さんが勝勢からの大逆転負けで初戦を落としたという大変残念な結果となりました。
井山さん優勢が続く中、辛抱に辛抱を重ねた末に放った勝負手が井山さんのミスを誘っての大逆転劇でした。

この勝負手で大逆転






















大盤解説担当の張栩九段曰く「妥協していれば井山さんが少しよかったようですが、肝心な場面で失着がでた」とのことでしたが、立会人の治勲さん曰く「勝ちを意識して安全運転を心がけたばかりに失着が出た」と一見すると正反対のことを言われていました。


まあこの辺は治勲さんと張栩さんの人間としてのタイプの違いから出る温度差なのかなあと思えなくもないですかね。
 治勲さんは手の見えない暗い世界の話をしていて、張栩さんは目に見える盤面の話をしているって言うんですかね。

昨日第一局で今日一日間が空いて明日明後日と第二局・第三局と続きますので大盤解説会に行きたいと思います。
明日の第二局は解説が高尾山で聞き手が吉原由香里さんですね。

頑張れ、井山さん!


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2018年2月2日金曜日

棋聖戦第三局大盤解説会。

風邪気味で体調が優れませんで加えて都内降雪との情報も出る悪天候でしたがこれに行かないと自分が自分でなくなるような気がして(大袈裟)、小雨パラつく中を市谷まで自転車で行ってきました。

行きがけに三省堂書店本店八階催事フロアで行われている古書フェアがどんな感じか見てきたのですが、残念ながら棋書はまったく置いてありませんで少しだけ読み物の囲碁の本があったかなあという程度でした。
3月にまた三省堂で古書フェアをやるという告知が出ていましたが、今回みたいな感じで棋書が無いようならわざわざそれだけのために神保町まで来る事も無いかなという感じでした。
何かのついでにという流れはあるかもしれませんけどね。
他の古書店も巡回しましたが、雨が降っているので店頭のワゴンなどが出されていなくて思うように本を漁れないところがあり今回は戦果無しとなりました。
うーん、無念だ。

16時から大盤解説会という事でしたが日本棋院に到着したのが15時半くらい、30分くらいダラダラと1Fロビーでモニターに映し出されている幽玄の間の棋聖戦中継の盤面を見て複雑な碁形やなどうなってんだこれはと眺めることにします。
棋院の建物が改装中ということで二階の一般対局場と売店が休業中で他に暇つぶしのネタが無かったというのが大きかったんですけどね。

折からの悪天候に加えて二階の営業休止もあって大盤解説会は集まりが悪く、開始時に10人程度でした。
開始後にも数名の来場があり、最終的には15,6人というところだったでしょうか。

解説は大矢浩一九段で特大の解説盤と小さめのサイズの解説盤との二つの大盤を使っての解説でした。





















まず小さい方の盤で取り急ぎ一通り並べて最新の進行状況を追う盤として、次に大きい方の盤で初手からじっくり解説するという手法でした。

事あるごとに最近のAIの打ち筋を引き合いに出して「昔は絶対ダメと言われていた打ち方が推奨されるようになった」「分からない・理解出来ない打ち進め方が沢山ある」「アマの皆さんへの指導がやりにくくなった」などと言われまして、時代の変わり目に翻弄される本職の先生の悲哀をやたらと強調されていました。
そういう持ちネタなんですかねえ。

burberryのシャツを着こなすお洒落な大矢九段






















さて対局内容の方ですが大矢九段の見立てでは、結果論になるけれども下図黒73のケイマにカケた手が頑張り過ぎで、逆に白からツケキリしてのサバキの余地を生んで白に形勢が傾くことになったのではないかとの話でした。



実際その後サバキ筋に入って白は中央に頭を出して、種石三子をゲタに取っていると地合いが足りなくなるというおかしな話になり、黒97と右辺を頑張る選択をせざるを得なくなり、その代償としてキングオブ種石の三子をコスミで逃げられて左右に黒の弱い石、まだ治まってない右上の石と収拾を付けるのが大変な展開に入っていったということのようです。
全部安泰というわけにもいかず、右上の黒がコウ争いに入った頃、18時10分くらいだったか白162ワリコミが打たれたところで白勝勢につき大盤解説はここまでという話になりお開きとなりました。
この後19時半頃まで対局は続きまして238手完で白番井山さんの中押勝ちとなったわけですが、折からの悪天候で交通機関がマヒして棋士も来場客も帰りの足が無くなってしまうことを恐れて早い目に切り上げたいと強く考えてのことでした。

それで毎回恒例の次の一手クイズですが、市谷本院の建物の改装工事のために第一局と第二局の大盤解説会を東京本院で行うことが出来なかったため、その分の景品がたまっているところに次の一手の正解者が一名しかでなかったとかありまして来場者全員に抽選のうえで色紙か扇子を配布することになりまして、私も扇子をもらうことが出来ました。

「寛裕」とは旨い字句を選んだもんですね



















LG杯決勝三番勝負が来週の2月5・7・8日に控えているところに棋聖戦で井山さんが一力くんに三連勝ということで、外野から星勘定だけを見ている分には井山さんが調子を上げてきているように見えまして、良い感じの流れだなと思えてなりませんで、井山さんの世界戦制覇に期待が膨らみますね。

LG杯決勝は現地大盤解説会が日本棋院で行われるので是非是非行かねばというところなのですが、上述の通り風邪気味のところを無理したのがたたって完全に風邪をひいてしまいました。
5日までに回復したいところなんですが、もう若くないので無理臭いなあと思いながら悪寒と発熱を繰り返しています。



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