2018年3月29日木曜日

ネット棋戦でソフト打ち不正。

欧州囲碁連盟(EGF)主催でパンダネットが協力しているネット棋戦でPandanet Go European Team Championshipというのがありまして、そこでの対局で相手がLeelaを使ったソフト打ちをしているという抗議があり、慎重に調査・分析を行った結果、黒であるという判定が出ましてLeelaを使用したとされる人物の同大会での対局は遡って全て反則負けにされて今期と来期の同大会への出場を停止する処分が下されました。

Pandanet Go European Team Championshipは欧州・アフリカ・中近東の37か国が代表チームを組んで団体戦を行う大会で、大会名にもある通りで対局は全てパンダネット上でのオンライン対局で行われます。
A~Dの4つのリーグに分かれて行われるこの大会のAリーグの第四ラウンドでイタリア代表チームのCarloMettaとイスラエル代表チームのReemBenDavidが対局して下記のような感じで黒番のCarloMettaが中押で勝ちました。

黒番 イタリア代表 CarloMetta四段 with Leela
白番 イスラエル代表 ReemBenDavid五段

棋譜再生

165手完黒中押勝ち

観戦していたユーザーがLeelaを使用して勝率や候補手を参考にしていたらイタリア代表の着手がLeelaが表示する候補手とほぼ全て一致したということに端を発しましてソフト打ちやってたんじゃねえのかという話になり、イスラエル代表チームが正式に抗議を申し入れました。
抗議を受けて主催・運営サイドで調査した結果、50手目から150手目までの着手のうち98%(つまり49手)がLeelaの着手と一致してこれはもう1億%クロだよねということで上述のような処分が下されたという経緯になります。

日本でもニコニコなんかの棋戦中継などで天頂やLeelaの数値や候補手をコメントするのをよく見かけますが、そこから疑念が生じたということですかね。

内部関係者がSNSで語った話では、まず疑われている人物のオフライン即ちリアルの大会での対局の棋譜をいくつか分析して中盤50手から150手についてLeelaが示す候補手上位三つで1位から5%以上離れていないものとの一致率が70~80%であると分かります。
次にソフト打ちの嫌疑がかけられている対局について同様にLeelaとの一致率を調べたところ98%で唯一違っていた手も勝率が一番高い手とは1%しか違わない候補手だたっとのことでした。

そこでCarloMettaの知り合いであると称する人間が登場、彼をよく知ってるんだけどここ二年くらい彼はネットで対局せずにLeelaとばかり打ってLeelaで研究していたんだよ、だからLeelaと極端に打ち筋が似てしまうこともあるんじゃないかな、などと読む気が失せるようなまとまりのない長文で擁護の書き込みをします。

おい、ちょっと待て二年前のLeelaは研究に使えるほど強くねえぞいい加減なこと言うなと外野からツッコミを入れたくなってしまいましたw
案の定、ほとんど信じてもらえてないみたいで少しホッとしますw

将棋やチェスの不正を取り扱う際にはコンピュータとの一致率は決定的な証拠としては扱われないところがありまして、今回の裁定では一致率98%でクロとされましたがその辺の妥当性については彼がシロかクロかという論点とは別に賛否両論ありました。
ただここ最近の囲碁AIの進化が目覚ましいことからいつかこういった不正が取り沙汰されることになるだろうなとは皆うすうす感じていたらしく、事ここに至ってはチェスの先例に倣ってネット対局の大会ではソフト打ち対策として1手5~10秒とかの超早碁にしないとダメだよねという点では論議の余地がないようでした。

さて欧州から目を移しまして、ここ日本では欧州や米国ほど広域ではありませんのでリアルに会場に集まって一斉に対局する形式の大会が主流でありネット対局による棋戦というのはあまり聞くことがありません。
しかし幽玄やパンダでのネット対局で進行するネット棋聖戦やアマ竜星戦などがあるにはありまして、時間設定を見ると40分とか60分とかふんだんに時間が使えるようでソフト打ちの余地は充分にあると言えます。
大会運営に支障をきたすほどにソフト打ちが蔓延しないと腰を上げないだろうなとは思うのですが、洋の東西に関係無く心が弱い人や思考回路が独特過ぎる人というのは一定数いるものですから、そういう日は結構近いかもしれませんね。


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