2016年6月22日水曜日

ネット碁いろいろ。

1.その後のweiqi.gs。
大きなところではCorrespondenceGame、いわゆるボード碁に対応、細かいところでユーザーインターフェースの修正などなどあるようなのですが、今のところ個人的にグッとくるものが無いのでユーザー登録などせずに遠巻きに眺めています。
登録アカウント数が200弱ということで私と同様に様子見の人が多いんじゃないのかなあと桃割れます。



今のところは「とりあえず作ってみた」という域を出ておりませんで、制作者の「俺が思うところの最新技術を駆使しまくった最高にイカす囲碁対局サーバーってのはコレだ!」っていう強い方向性が打ち出されていない感が否めません。
でも興味を持って今後に期待している人は多いと思うんですよねえ。

2.野狐囲碁その後。
Tygem(東洋囲碁)やCyberOro(幽玄)に代表される既存の韓国製囲碁対局サービスに強くインスパイアされつつ中国人からの視点で機能を取捨選択の上で潤色した野狐囲碁ですが、韓国の既存のサービスと比べると一長一短ありまして一概に優劣を言えない感じがあります。

1)鯖的大艦巨砲主義?。
TygemやOroでは日本・韓国・中国など国別、高段・低段・上級・低級など棋力別に鯖が分かれていることが多いのですが、野狐は基本的に巨大な一つのサーバーで国や棋力を問わずに全てのユーザーを収容しています。
これも良し悪しありまして東アジア地域がいわゆるゴールデンタイムともなれば1万人を超えるログインユーザーが一つの鯖にひしめき合いまして、ログインユーザー数が一番少なくなる早朝の時間帯でも大体2000人くらいがログインしているので対局相手を探すのに苦労しません。
東洋囲碁の日本鯖のようにユーザーが数十人しかいなくて何だかなあって感じになることはまず有りませんし、幽玄の日本室のように対局となればいつも同じような面子ばかりで変わり映えしないというようなこともありません。
しかし、混雑する時間帯ともなればユーザーの読み込みやらなにやら処理が重くなってるなと感じることが多々ありまして、これはこれで鯖を分散させた方が良いのだろうなと思わざるを得ません。

2)観戦主体?。
どうも日本棋院と韓国棋院と正式なライセンス契約を結んでいるようで、国際棋戦や各国の主要なタイトル戦の中継をやっていまして、各国トップ棋士による国際親善対局なども主催していることから、観戦ユーザーが非常に多いようです。
なので幽玄日本室のようにログインしているユーザー数の割には対局相手が見つからないところがありまして、その辺がサクサク見つかるTygem(東洋)との違いでしょうか。
まあ見つからないワケではないので、そこまで気にするほどの話でもないんですが・・・。

3)昇降級システム
東洋囲碁のランクシステムを昇級しやすく降級しにくいように調整を入れたもので、ランクの棋力目安としての面を妥協して、一度昇級したら維持しやすいランクでユーザーにおもねる割り切った姿勢をどう評価すれば良いのか判断に困るところですw
まあ地獄絵図となっている東洋の二桁級のことを考えると野狐の級ランクの昇降級基準はこれで良いのかと思いますし、段ランクともなれば東洋とさほど変わりない条件になるので、東洋に比べると多少甘くなるのかなと思いますが、それはそれで受忍できないほど問題がある話でもなかろうとは思うのであります。



4)中華的マナー。
中国の囲碁サイトなのでユーザーの95%は中国の人なわけでして、Tygem(東洋)でもOro(幽玄)でもよく見かける終局拒否や放置して時間切れギリギリになると戻って来るなどあの手この手のワンダーランドがありまして、なかなか一筋縄では行かないところがあります。
ある程度覚悟が必要かなあと割とマジで思いますw
まあ中国のユーザーだらけだった英語ゼムのWorld鯖で慣れてるので「まあこんなもんか」で私は済ませているのですが、免疫がない人だとかなりキツいと思いますw

5)無料会員の扱いについて。
ブラウザの設定で表示言語の優先順位を英語が最上位になるようにしているためか、アメリカ人扱いされていて何だかなと思うのですが、ともかく無料会員扱いされています。
有料会員じゃないと出来ないことというと、解説付きプロ棋譜の閲覧や東洋囲碁で言うところの囲碁ポイントにあたるFoxCoinを使っての対局へのBET、コミュニティの新規設立、問題集の解答を見る、などなどありますが対局に関連する基本的な機能に対しては特に制限をかけられていません。
なので幽玄や東洋の無料会員で感じる不便さというのは基本的に野狐の無料会員では無いと言えるでしょう。

とまあそんなことで既存のネット碁サービスと比較すると一長一短ありますが、幽玄や東洋をよく研究した上でのサービスなのでそれらに大きく劣るということはありませんで、なかなか良いのではないかなと思います。
ただ、何せ中国製のアプリケーションをPCにインストールすることになるので、世の中にあるあんれやこれやの事例を見るにとてもとてもそんな恐ろしいことは出来ないよというのであれば、無理にお勧めするものではありませんw

まあ私みたいに複数のネット碁サービスを掛け持ちでつまみ食いするような人には野狐は大層魅力的に見えますもので「自己責任」でやってみようということになるのですよね。

3.DeepZenGoProject進捗状況。
19日にKGSのComputerGoRoomにzen19Aが新規に登場、ガチ高段者やBot専門のプレイヤー相手に打ちまくりまして、21日までの三日間で92勝43敗でランクは8dをキープする結果となりました。
ドワンゴと日本棋院の協力を得てプロジェクトを立ち上げてから3ヶ月にまりますが、当初のKGS6dからzen19Xが7dで今回のzen19Aが8dということで着実に強くなってきているのが分かりますね。
去年の10月にFanFui二段と対局した頃のAlphaGoに匹敵する強さを実現するというのが当初の目標でしたので、zen19Aの登場を見るに9月までにこの目標を大きく上回る成果を上げても何ら不思議ではないと思えます。
出色はKGSトッププレイヤーランキング1位のkingmaker9dと5局打って4勝1敗で勝ち越したところにありまして、置石無しで打つ分にはもはやKGSに敵はいない模様です。
ただ置碁で白番に回ると百戦錬磨のBot専門プレイヤーたちがあの手この手でモンテカルロの隙を突いてくるようで黒番で14勝4敗に対して白番で78勝39敗、黒番ほどには勝率がよろしくないようです。
Botの癖を知り尽くしたある意味猛者たちの手でzen19Aの課題が浮き彫りになり穴がどんどん埋められて行き、どんどん強くなっていくのでしょうか。
楽しみですねえ。


2016年6月15日水曜日

本因坊戦第四局大盤解説会。

上手い具合に休みの日と重なってくれましたもので市谷の日本棋院本院で行われた本因坊戦挑戦手合第四局の大盤解説会に行ってきました。

13時半過ぎに市谷に到着、まずは一般対局場で腕試し、点数制350点のところが1勝1敗でプラスマイナスゼロ、もう一局やっても良かったのですが16時から始まる大盤解説会に引っかかってしまいそうな微妙な時間になったので切り上げることにします。

1局目は互先で白番、序盤は微妙な感じでしたが中盤からガシガシ石を取って中押し勝ちです。
カードを新しく作ってから白星が5つ続いている形になっているのでそろそろ係りの人に見咎められて点数を上方修正されそうな雰囲気が漂ってきます。
中期的目標である四段の基準点356点の達成をそういう形で迎えるのは有難味がないというか著しく達成感に薄いので出来れば勘弁してほしいところなんですが・・・

2局目は頭頂部に人工物的な不自然さを感じるお父さんと互先で黒番、仕掛けて弱い石を追い回す展開になるも、追いかけ方が薄かったもので切り返しを食らって黒石がつぶれてしまい、いろいろあがきますがどうにも出来ず投了になります。
まあこの辺で黒星が一つ入ったことで点数の上方修正が避けられたということで安心するべきなのかとか無理矢理ポジティブな方向に話を捻じ曲げることにします。

せっかく棋院まで来たのでキミオさんが過激な相談をしているとか言う今週の週刊碁を買って大盤解説会が始まるまでの間読むことにします。




二階の大ホールから三階のA室に行きますとお兄さんとお姉さんが会場の準備中で開場までもう少しかかるとのお話です。
後でよく考えたらお姉さんの方は巻幡三段でした。
解説・聞き手と司会進行は別の先生でやるのですな。
お兄さんの方もおそらく棋士ではないかと思われますがそこまで詳しくないので分かりませんでした。
16時開始なのですが会場に来てみれば既に高尾山が投了しているとのことで配られた棋譜は終了までの総譜になっています。
時間まで週刊碁に目を通すつもりだったのですが、会場のテーブルに盤と石があるので並べてみることにします。
時間になって解説会開始、肝心の対局が早々に終わってしまったこともあってか入場者が20人もいません。
解説の木部夏生二段と横塚力初段が二人で初手から大盤で来場者からの質問に答えつつ様々な変化を検証しつつ解説を進めていきます。
序盤でしくじった黒番の高尾山が挽回するチャンスを求めるも井山さんが反撃を完封しましたねということで、17時半には大盤解説会が終了してしまいます。
128手の短手数でもう対局が終わっているので、ベテランの先生のように世間話で間を持たせるのも難しいということで約90分で終了です。
低いテンションで時折シニカルに笑いを取る横塚初段と厳しく懇切丁寧な木部二段の解説でマシンガンのように進めていましたからねえ。

次の一手クイズをやるつもりが終局済みなので用意された景品は完全なる抽選ということになりまして、予め用意された扇子・色紙等の景品と解説の木部二段・横塚初段の色紙が各一枚を17名の入場者で抽選するという当選確率が異様に高い話になります。
扇子と秀芳さんの色紙の抽選が終わってここまで私の名前が呼ばれないので今回もボウズかと半ばあきらめていたところ、高尾山の色紙で私の名前が呼ばれまして大当たりとなります。



老子からの言葉でいろんな解釈が試みられているようですが、大雑把に言うと「世の中の俗事に対応しつつも理想を忘れない」みたいな意味らしいですね。
囲碁の黒白と絡めて高尾山が書道の先生からお勧めされた成句みたいですね。
この高尾山の色紙のあとに横塚初段の色紙「中押」と木部二段の色紙「初心」の抽選となり、次の一手クイズ変じて抽選会が終了しお開きになります。

二階の売店で武宮さんが名人だったときの色紙が二万円くらいで売られていたのを見て「ヤフオクで高値で(ry」とか罰当たりなことを考えたりもしましたが、ここは一つ家宝として棚にしまっておくかと考え直します。

行き帰りにブックオフやら神保町の古書店で例によって格安棋書を探しまして、今回はこの1冊を地元の大杉のブックオフにて260円で。



取り上げている定石の選択が妙にマニアックなように思えまして、読んでいてそこそこ楽しかったりしますw
定石の細道を少し奥まで分け入ったところの内容なので級位者にはあまりお勧めできませんで、初段を取ってさらにそこから先に挑戦するような人にお勧めなのかなあというところ、トンがった内容の本ですねえ。

他店の取り扱い状況を見るに、棋院のポケットシリーズの新書はブックオフでは260円で売られるケースが多いようですので、これまで以上に新書の棚をこまめにチェックせにゃならんようですね。

ということで、また上手い具合に休みの日に大盤解説会があるようでしたら是非行ってみたいと思います。

2016年6月8日水曜日

近状いろいろ。

1.買う。
東小岩のブックオフで108円の本を買って帰ります。

 

20年前の本なので経年劣化がそれなりにありますが、優・良・可・不可で可のレベルかなあというところ、108円なら炎天下に間違えて自販機で温かい飲み物のボタンを押してしまったと思えばさして惜しくもないかなあと。
というかもう殆ど病気で、別に囲碁の本が読みたいわけじゃなくて108円とか二束三文の棋書を買って読んで謎の達成感を得たいんだよ!という努力の方向音痴とでも呼ぶべき状態に陥っているのですが、人様に迷惑をかけない範囲でやりますので大目に見て頂ければ幸いですね。

そして松島のブックオフで108円でこちらを購入。

 

家に帰って本棚を見たら既に並んでいましたw
駄目じゃん、二冊目買ってどうするのw
棚の肥やしにしてちゃんと読まないからこういうことが起きるわけでw
まあ108円だから経済的には損害軽微なんですが間抜けな話ですねえ。

2.借りる。
江東区立東陽図書館で1冊。
ざっと目を通してみたら割りと良い本だったので借りることにしましたが、平本メソッドに沿って脳内碁盤を云々は無視して淡々と解く作業になりそうです。

 

3.リアルで打つ。
有楽町定期棋力測定ということで例によって自転車で永代通りをひたすら西進、永代橋を渡ったら鍛冶橋通りに入って有楽町へ向かいます。

一局目は好人物そうなお父さんと定先の白番、最初の隅で殺されますが、あと二隅で殺し返すという物騒且つ大味な碁を展開、50目くらいの勝ちになります。

トイレ休憩を挟んで二局目はシルバーな感じのご婦人とコミなしの白番、厳しい戦い無く囲い合いと狭め合いを繰り返して、目算したら細かいけど白有利かなと思っていたら果たして白三目勝ち。

ちょっと長い目に休憩を取って三局目はリタイヤ済みとおぼしきお父さんと互先で白番、全体的にこちらが薄いのが気になるけど地合は結構良い勝負かなと思っていたらポカで隅が死んでしまい私の中押し負けになります。

こういうポカが出てくるのは集中力が切れている証左であるなと判断して四局目以降頑張っても良い碁・面白い碁は打てそうに無いということでここまでで切り上げて帰ることにします。
今日は全体的に大雑把な碁になったけど指運で白星が二つ転がり込んできてくれたような感じでしたかねえ。

ということで、点数制で350点のところが二勝一敗で点数が一点伸びて351点ということになりました。
内容はさておき何だかんだで対局カード上では白星が六個くらい続いていたので、そろそろ係の人に連勝街道ばく進中なのを見咎められて点数を上方修正されそうな頃合だったのでこの辺で黒星が一個つくのも悪くないというか、点数の上方修正で四段の基準点である356点を達成とか今ひとつ達成感に欠ける話は出来たらご勘弁なので丁度良いのだよとか不本意な負けの悔しさを紛らわせたりw

上手く休みが予定通り取れるようなら来週の火曜に市谷本院の一般対局場で腕試ししてから本因坊戦第四局大盤解説会というコースが可能になりますので、詰碁でも解いて力を養っておくとしますかね。

あと、カウンターの中にいる係の人に7月18日予定の宝酒造協賛松竹梅囲碁大会の有段者の部はまだ定員が満杯になって受付を終了しているようなことがないですか?と聞いてみましたらば、お兄さん二人して色めき立って「あなたみたいな人を待ってたんですよ!」という感じで「まだまだ定員まで余裕があるので絶賛受付中なんですよ!何なら今ここで申し込みをしちゃいますか!?」というような話をされますもんで、熱意に応えて申し込みしておきました。
例年だと早い時期に定員一杯になって応募が締め切られることが多かった松竹梅囲碁大会ですが、今回は級位者の部と有段者の部を別日程に分けて開催することから、6月7日現在では少なくとも有段者の部はまだまだ定員まで余裕がありそうな雰囲気でしたので全然間に合うかと思われます。

大会当日は夜勤明けノー残業ということで申告しておかないとイカンですな。


2016年6月1日水曜日

Weiqi.gs。

米欧で技術を持った変態が新しくオープンソースの囲碁対局サイトを立ち上げたそうで、その名を「Weiqi.gs」というのだとか。
最新のWeb技術の粋を集めて作ったブラウザベースの対局サイトということで、OSとブラウザを問いません。

向こうでは数学者やプログラマに囲碁愛好家が多いらしく、ブラウザベースの囲碁対局サイトの決定版が未だ出ていないことに不満を持つ人がチラホラいるようです。
bitzi氏もそんなプログラマの一人であり、鳴り物入りで立ち上げたKaya.gsは消滅し、KGSの脱Java・html5化の作業は遅々として進まず、Nova.gs(OGS)は彼の正直な意見としては腐ったユーザーインタフェースで話にならない、ということで現状に対して強い強い不満を持っていたのでした。
そこで技術のある変態であるbitzi氏は「もういい、ブラウザベースの囲碁対局サイトの決定版を俺が作る!」と立ち上がり数ヶ月に及ぶ作業の末に出来たのがこのα版・・・一応碁が打てる以上のものではない段階ですね、これは。

開発者も「まだ出来たばかりでこれからいろんな機能を追加していくから待っててね」みたいなことを言っているので、素直に待ってみますかね。

特徴的なのは立ち上げ当初からオープンソースでして、確かKaya.gsは資金が枯渇して開発を投げ出す寸前にオープンソース化したような覚えがありまして、立ち上げ当初からってえのは最近では珍しい気がします。
あと、持ち時間はフィッシャー方式でいわゆる一手×秒の時間管理は未対応とのことです。
レーティングアルゴリズムはGlicko2を採用とのことで、この点は正直よく分かりませんw

とにかく出来たてホカホカのα版サイトなので登録ユーザー数もやっと100人とかそんな感じですが、開発者がブラウザベースの囲碁対局サイトの決定版として自信を持って送り出す機能の数々が「マジでスゲえ!!11」ということなら人がわらわら集まってくると思われますので、お手並み拝見ですね。

あくまで個人的な意見ですが(予防線)、私はOGSのかなり独特なユーザーインターフェースがしっくり来ないもので、weiqi.gsにはOGSとは違った方向性を見せてもらいたいなあと期待しています。